Which do you like the best?

独断と偏見による実車レビュー、第2弾。今回はダウンサイジングターボ車、『メルセデスベンツ Cクラス』。王道の車種ではあるが、今回はそのなかでもW204型にスポットを当てた。


メルセデス史上最も妥協を排した『スポーツCクラス』であるW204型。同じ車種であっても年式とグレードによって個性は万別で、同一車種であっても全く違う世界が広がる。これにより、消費者の多様なニーズに応えることに成功し、『選ぶ愉しみ』も演出している。


国産車にはないほど個性の違いをご紹介しよう。一般的にイメージしやすいように、『カレー』に例えてみた。イメージや雰囲気が伝わるだろうか。


【ベースモデル】

今回のベースモデルは前期型となり、このクルマがすべての基準となる。またメルセデスの本質的価値である高い安全性能と高速直進安定性は健在。W204型は歴代の中で最もスポーツ性を重視したモデルのため、ベースモデルであっても乗り心地は硬い。


しかしながら、メルセデスらしさは健在で、穏やかで重厚な乗り味が堪能できる。今回の比較車両タイプの中では最も乗り心地が良いため、長距離走行や快適な移動を望むならベースモデルが一番おすすめ。国産車のようにただ安いだけではなく、きちんと体感できる『良さ』があり、ベースモデル=安いだけの図式は成り立たないところは、さすがメルセデスといったっところだろう。


カレーで言えばボンカレー甘口。老若男女、誰もが安心して乗れる車だ。


【スポーツパッケージ搭載車】

標準車にスポーツサスペンション(ベースモデルに比べて少し硬くしたサスペンション。サスペンションとは人間でいうと足に相当する部分で、地面から衝撃を受け止めたりボディを支える部分のこと。一般的に硬ければ(人間で言うと足の筋肉がある状態)高速走行時に車が安定する。)や専用タイヤ、迫力のあるAMGスタイリングを身にまとった車両。このモデルからは後期型となる。


ベースモデルに比べればサスペンションが硬いため、乗り心地は少し硬いが、極端に悪いわけではない。カッコいいAMG風の外観も手伝って人気グレードである。ベースモデルとスポーツパッケージプラス搭載車の両方のいいとこどりをしたようなクルマ。走りもデザインもうまく両立していることから、若々しさをアピールしたい人や、デキる男を演出したい人におすすめ。


カレーで言えばジャワカレー中辛だろうか?スパイスの香りがアクセントで心地よい辛さがありながらも全体的にはマイルドで美味しく頂ける仕様である。


【スポーツパッケージプラス搭載車】


スポーツパッケージ搭載車にさらにダイナミックハンドリングパーケージと呼ばれる可変ダンパー(乗り心地の硬さや操縦安定性を調整できる(人間で言うと足の筋肉の量を調整できる)サスペンション)とクイックステアリング(ハンドルが鋭く切れる機構)を搭載した車両。この中では最もハードでスポーティーな仕様である。


確かに超高速域での安定性や運動性能は桁違いに良くなっているが、一般道ではまず出番はないだろう。一般道の荒れた路面に対しては硬すぎるサスペンション(上記参照)で、メーカーから出てきた完成車のなかでは今まで感じたことないほどの乗り心地の悪さや、反応が鋭すぎるハンドリングはドライバーにもそれなりのスキルを要求する。常に神経を使いながら走るその様は己との戦いである。生粋の武闘派にしかおすすめできない仕様だ。


もし、このクルマの良さが活きるとするならば新○名高速道路の制限速度が無制限になった時だろう。フラットな路面を超高速域で走ることが可能になれば、『水を得た魚』のごとく抜群のパフォーマンスを発揮し、極上のドライビング体験が体感できるはずだ。


極めてコアなファン向けのグレードで、カレーで言えばLEE激辛×20倍。体を壊さないように注意していただきたい。


このように、同じCクラスであっても個性は千差万別。試行錯誤を繰り返しながら自分に合った車両を見つけるのもまた一つの『愉しみ』である。自分の恋人を選ぶように自分の価値観に合ったパートナーをぜひ見つけてほしい。


Whichi do you like the best?


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